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純喫茶コレクション

好きなものは、昭和の香りがするもの。  純喫茶に恋をして、もうかれこれ数年。  部屋にあふれる昔のレトロな雑貨たち。  そんな風に大好きなものたちを紹介していけたら。

長野・上田・ニュービーナス

旅先で必ず行う好きなことの一つは、日中のスナック街散策、である。

夜のしっとりした空気の名残を浮かべる朝の街では、ゴミを突付くカラスの鳴き声と、
まだ眠たいのかいつもよりのんびりと歩く猫の他には、誰かとすれ違うこともほとんど無い。

二ヶ月ほど前に訪れた上田でも、前日から気になっていたスナック街を目指し、昼前に向かった。

小さな店が軒並みを連ねたそこは、ぐるぐると歩き回っていると迷子になってしまいそうだ。
飽きることもなく、同じ店の前を3周ほどした後、喉が渇いたと唐突に感じた。

そんな時、まるで嘘のように視界に飛び込んできたのが、「喫茶」という赤い文字だった。

灯りも点いていないその店は営業しているのかも分からず、階段の下から覗き込んでいると
頭上の暗闇の中から急に声が聞こえたので、一瞬驚いて後ずさりをしてしまった。

もう一度そちらを見ると、掃除をしていた女性が笑顔で「何か用ですか」と問いかけてくれた。
珈琲を飲みたいことを告げると、「中へどうぞ」と扉を開けてくれたので安心して階段を上がる。

想像よりもずっと広くて薄暗いその店内は、誰もいないのに何故だか人の気配がした。
長い年月を重ねてきた喫茶店の独特の空気なのかもしれない。

点けられていたテレビの画面をちらっと見て、後は店内をずっと眺めていた。

冷たい珈琲だけ頼んでぼんやりとしていた私の机に、果物の乗ったお皿がすっと差し出された。
「食べて」と微笑んでこちらを見ていた女店主にお礼を言って「春の味がします」とだけ答えた。

出ようと立ち上がった時の「もう行ってしまうの?もっとゆっくりしていきなさいよ」という言葉に
後ろ髪を引かれつつも「また来ます」という社交辞令になりがちな一言を発してしまった。

すると「じゃあ、場所を忘れて迷わないように」と笑いながら渡してくれたのは、
マッチ箱と店の住所の入ったメニュー紙だった。嬉しいお土産をいくつも戴いて嬉しくなる。

この旅の当初の目的は、近々廃線になってしまう屋代線に乗ることだった。その日まで約一年。
東京に帰ってからもその紙を何度も取り出してはじっと眺め、また新幹線に飛び乗る日を思った。

★住所:長野県上田市中央3-9-7
★TEL:0268-27-5753

上田・ニュービーナス1

上田・ニュービーナス2

上田・ニュービーナス3

上田・ニュービーナス4

上田・ニュービーナス5

上田・ニュービーナス6

上田・ニュービーナス7

上田・ニュービーナス8

上田・ニュービーナス9

上田・ニュービーナス10

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上田・ニュービーナス14

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