純喫茶コレクション

好きなものは、昭和の香りがするもの。  純喫茶に恋をして、もうかれこれ数年。  部屋にあふれる昔のレトロな雑貨たち。  そんな風に大好きなものたちを紹介していけたら。

東京・押上・珈琲店 モカ【閉店】

コーヒーカップの中味が空になってからも、しばらく席を立てないままでいた。

ここにやってきたのは、まだたった三回で、一度目は閉店の貼り紙を見つけて、
二度目には、ピザトーストとアイスコーヒーを注文して外の景色を眺め、
三度目は、閉店の当日でシグリという美味しい珈琲を飲みながら、店内を眺めた。

店の主人と思われる女性は、とても元気があって、本当に気持ちの良い人だった。

悔やんでも仕方がないが、もっと前にここを知って、飽きるほど通ってみたかった、と思う。

閉店当日は、あまり広くない店内が次々と入れ替わって満員になり、常に
珈琲のいい匂いがした。カウンターの中で丁寧に淹れられた珈琲は優しい味がした。

帰る間際に、いくつかの話をした。「また来ます、と言えないことがさみしい」、と
告げると、もう一人の女性が少し涙ぐんだ。私も思わず、胸が詰まる。

この店で30年間使われていたシュガーポットや銅のアイスコーヒーカップをお土産にくれた。
これから同じだけの年数、それ以上の時間分、家で大切に使おうと思っている。

2年後に新しい東京タワーが建つ街は、その頃すっかり景観を変えてしまうのだろうか。

新しいものも良い。古いものも良い。その境目はいつも難しい、と考えながら夜を歩いた。

(2009年10月30日 閉店)

★住所:東京都墨田区押上1-11-2
★TEL:

押上・モカ1

押上・モカ2

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押上・モカ21

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東京・八広・喫茶 ぽてと

うっかり見逃してしまいそうな、細い路地にこの喫茶店を見つけた。

喫茶店を好きになってからというもの、街を歩くときは、
地面に置かれている看板のみならず、上に掛けられている看板まで無意識に見てしまう。。

すると、「喫茶」という文字と、探偵のような男性が珈琲を飲む絵が目に入ったので、
思わず近くまで行く。営業中だったので、更に嬉しくなった。

こんな風に喫茶店に出会えた時は、ひょんな宝物を見つけたような気持ちになる。今でも。

中では、常連客らしい男性が、店主と談笑していた。
私は、窓際の明るい席に腰を下ろし、あたたかい珈琲を注文してから、
本棚に向かって漫画を選んだ。喫茶店に置いてある漫画は、好きなものが多い。

あまりにも居心地が良いので、一気に6冊も読んでしまった。
珈琲はあっさりしていて、とても美味しかった。

次に訪れたくても、はっきりした道順を忘れてしまったほど、偶然見つけた喫茶店だったが、
またあの界隈を散策した際には、必ず訪れようと思っている。

★住所:東京都墨田区八広1-39-19
★TEL:03-3611-1063

ぽてと1

ぽてと2

ぽてと3

ぽてと4

ぽてと5

ぽてと6

ぽてと7

ぽてと8

ぽてと9

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東京・八広・純喫茶 ナルサワ

先日、何となく思い立って下車してみた八広駅には、いくつかの素敵な喫茶店があった。
少し暑い日だったので、一休みを兼ねてその内の何軒かに入った。

その時に、一番初めに入ったのがここ、純喫茶 ナルサワだった。

失礼な話だが、横断歩道の駅側からこの建物を見たとき、すでに
営業は昔に終わっていて、喫茶店の跡地として存在しているのであろう、と思った。

昼の光に照らされて、中の様子が全く見えなかったことと、あまりにも
年季の入った外観がそう思わせたのだが、信号が青に変わり、近くへ行ってみると
まだまだ現役で営業しており、中では3人もの店員さんが忙しそうに動き回っていた。

嬉しくなって、すぐに扉を開ける。まず、目に入ったのが、天井にある大きな照明だった。
北千住の飲み屋街にある ティールーム みゆきを思い出す。

テーブルは、半分くらいがゲーム台で、窓際の席に座る高齢の男性が、
小さな声で何かをつぶやきながら、ゲームに夢中になっていた。

つられて私もゲーム台のテーブルを選ぶ。すると、親切心からか、店員さんが
「足元が狭いので他の席へどうぞ」と勧めてくれた。しかし、丁重にお断りし、
そのままゲーム台の席で、少し足を曲げたまま座った。何となく、そんな気分だったのだ。

メニューを一通り眺めてから、冷たいココアをお願いして、
運ばれてくるまでの間、窓の外を行き交うバスやトラックを眺めていた。

店の中のほうが、地面の位置が低いのか、それとも錯覚だったのか分からないが、
じっと外を見ていると、まるで現実の世界ではなく、映された世界のようで、
大きな窓がスクリーンのように思えてきた。

「お待たせしました」の一言で、我に返り、冷たいココアにストローを差す。
いつもあまり甘い飲み物は飲まないが、この日のココアは本当に美味しかった。

それから、何人かの近所の人たちが飲み物を飲んだり、煙草を吸ったりするのを
眺めて店を後にした。もう9月だというのに、外は夏のように暑いままだった、この日は。

★住所:東京都墨田区八広4-24-7
★TEL:03-3611-0557

ナルサワ1

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東京・曳舟・純喫茶 キャノン

八広周辺を、ぐるりと散策した夕方の続きである。

特に目的も決めないまま、野良猫の後を追いかけたり、
路地裏の洗濯物を見上げながら適当に歩いたり、美味しそうな台所の
匂いにふらふらと引き寄せられたりしていたら、いつの間にか曳舟まで来てしまった。

大きな道路沿いに出てしまったので、そろそろ浅草方面へ向かおう、と歩いていた。

すると、信号待ちをしていた道路の向こう側に「喫茶」の文字を見つけてしまった。
特別に喉は渇いていなかったが、少し暑かったのと「喫茶」や「珈琲」という文字を
見ると、吸い寄せられてしまう性質を持っているので、自然と足はそちらへ向かった。

大きな窓に囲まれているが、曇りガラスのため、中の様子を伺うことが出来ない。
とりあえず、扉を開けて中へ入ってみると、想像よりもずっと広い店だった。

店内で新聞を読んでいたマスターが、くるりと振向き、いらっしゃい、と迎えてくれた。
一番奥の、ゲーム台の席に腰を下ろし、アイスカフェオレをお願いする。

歩き回ったせいで、少し体温が上がっていたので手元にあった紙でパタパタと風をおこした。
すると、カウンターの中からそれを横目で見ていたマスターが、何も言わずに
エアコンの温度を下げてくれたようだった。店内は涼しくなり、私の汗はひいた。

こういう何気ない気配りに、私はいつも感動してしまう。
マスターとは、その後目が合わなかったので、心の中でお礼を言った。

カフェオレを飲み干し、雑誌を一冊めくり、帰り際にマッチ箱の話を少しした。
それまで、無表情だったマスターの顔に、とても良い笑顔が広がったことが嬉しい。

扉を開けて外に出ると、店内で鳴っていたレゲエの音が少しずつ遠ざかっていった。
夕暮れの終わりも少しずつ早くなって、夏が終わっていく。

★住所:東京都墨田区東向島3-38-6
★TEL:03-3610-1702

キャノン 曳舟1

キャノン 曳舟2

キャノン 曳舟3

キャノン 曳舟4

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東京・八広・喫茶 まるや

京成押上線の八広駅周辺を、あてもなく散策していたら、いくつかの
素敵な喫茶店に出会った。その中でも、最も印象深かった店について先に。

喫茶店を目的として散策する時は、特に方向は決めずに、何となく
小さな商店街のありそうな方、もしくは大きな道路沿いを目指して歩いていく。

喫茶 まるやも、知らなかったのだが、しばらく歩いて少し暑さに疲れ始めた頃、
ふと姿を現したのだった。「氷」と書かれたのれんが、風にゆらゆらと揺れていた。

ガラスケースに入ったサンプルは、かき氷がメインで、他にはヤキソバや
ミルクコーヒー、ラムネ、クリームジュースなどがあった。

中を覗くと、高齢の婦人が机に向かって、何やら手紙のようなものを書いていた。

ガラガラと扉を開け、声をかけるも、聞こえなかったようだったので近くへ行き、
一休みすることが出来るか尋ねた。すると、満面の笑みでこちらを見上げて、
注文を聞いてくれたので、壁に貼られたメニューをざっと見て、氷ミルクをお願いした。

それとほぼ同時に、人の良さそうなマスターが外から戻ってきて、「いらっしゃい」と
こちらに向かって笑顔を見せた。その笑顔が、何だかとてつもなく良かった。
思わず、つられて私も一番いい笑顔になってしまったであろうほどだった。

かき氷機は、昔ながらの立派なもので、大きな音を立てながら、
みるみるうちに山盛りのふんわりとしたかき氷になって机に運ばれてきた。

ガラスの器にたっぷりと入れられたミルクも、甘過ぎないところが本当に美味しかった。

冷房はついておらず、入り口ではないドアが開け放たれていて、そこから
吹いてくる風が、やけに心地良い。使い込まれた橙色の椅子や、テーブル、
曇りガラスを照らす日光の具合など全てが、好みだった。ずっとここにいたくなってしまう。

思い出すだけで幸せな気持ちが甦ってくる、という素敵な店にまた出会ってしまった。
ヤキソバも気になったので、次回はそれとラムネと氷を食べに行こう。

★住所:東京都墨田区八広1-39-4
★TEL:03-3612-4473

喫茶まる1

喫茶まる2

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